LV. 最後の晩餐
おいっ! いい加減にしねぇとそろそろマジで殴り殺すぞ!
サイコパスは、店内の雰囲気と香りに耽っている。
久しぶりに地元に帰ってきて、学生時代に通っていたうどん屋に足を運んだ。
相変わらずコシが強くてのどごしがよく、鰹の香り広がる出汁もうまい。揚げたて熱々の海老の天ぷらがプリプリと踊っている。
サッと振りかけた七味の香りが食欲を掻き立て、鶏肉の淡白な味が絶妙に絡み合う。
ゆっくりと懐かしき思い出の味に浸りながら、特別美味しいこのうどんを食す。
そうしたいと思っていた。
贅沢な願いじゃないはずだ。
だけどそんな俺のささやかな思いを打ち砕くように、クソガキがうるさく騒いで邪魔をする。
ガキが騒いでいる座敷から少し離れたカウンターで俺は食べているが、それでもうるせぇガキの声が癇に障る。
マジで殺してぇ……!
殺してぇと言っても、ガキのことを殺してぇわけじゃねぇぞ。
俺が殺してぇのは、座敷を走り回るガキを注意しねぇで澄ました顔して飯食ってるあの親だ。
分別のつかねぇガキが騒ぐのは百歩譲って仕方のねぇことだ。
だが、そのガキを叱ることなく、しつけができねぇ親は許せねぇ!
テメェがテメェのガキに礼儀や常識を教えねぇで誰がそれを教えてやるんだ!
あのバカ親に限ったことじゃねぇが、今の時代、他人が人のガキを注意するだけであーだこーだ文句をつける親が増えて苛立ちを覚える。
だったら人に注意されねぇようにしっかりしつけとけって話だろ!
いいか、よく覚えとけよ。注意する方は間違っちゃいねぇんだからな!
子供に嫌われたくねぇとか自由を尊重してやりてぇとか言ってテメェのガキを注意できねぇバカ親、それを『良い親』とは呼ばねぇからな!
ダメなことはダメってしっかり言える親にならなきゃダメなんだぞ! 分かるか……!
サイコパスは、ズルズルといい音を立てて麺をすする。
まぁとりあえず、お前みたいなバカ親は痛い目見ないと分からねぇと思うんだわ。
だからその美味しいうどんを食べ終わったら表出ろ。
しつけのなってねぇガキの前で、殴り殺してやる!
早く食べ終わらせろ、それがお前の最後の晩餐だ。
サイコパスは、汁をグイッと飲み干した。
第18弾 『アトミック・ブロンド』
どーも! ユアセルフ です!
今回紹介する映画作品は『アトミック・ブロンド』!!
シャーリーズ・セロンが魅せるアクション映画!
監督 デヴィッド・リーチ
主演 シャーリーズ・セロン / ジェームズ・マカヴォイ / ソフィア・ブテラ
原題 『Atomic Blonde』
ジャンル アクション・スリラー
上映時間 115分
ユアセルフ 予告を観た段階で……ぜってぇ観る!! と思いました!
シャーリーズ・セロンのアクションがとても好きなので、『ハンコック』『スノーホワイト』『マッドマックス 怒りのデスロード』でのシャーリーズ・セロンは大好きです!!
そのシャーリーズ・セロンがまたもやアクション映画に出るということならば、これは観るしかないでしょ!! っと思った次第です。
・ストーリー
舞台は冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の1989年。
西側に機密情報を流そうとしていたMI6の捜査官が殺害され、最高機密の“リスト”が紛失してしまう。
そこでMI6は諜報員ロレーン・ブロートンに、その“リスト”の奪還と、裏切り者の二重スパイを見つけ出して殺すよう命じる。
組織の命令で先にベルリンへと潜入していたデヴィッド・パーシヴァルとタッグを組み、任務を遂行していく二人。
しかし、機密情報である“リスト”を探しているのは、MI6だけではなかった。
KGB、CIAと各国のスパイを相手に“リスト”をめぐる争奪戦へともつれ込み、戦いは激しさを増していく。
ダマし、ダマされ、いくつもの顔を持つスパイの思惑が乱れあう。
はい、いかがでしたでしょうか。
ストーリーはこのような感じになっています。
ここからは ユアセルフ 個人の感想を述べていきます。
ムズ……かしい……!
本作『アトミック・ブロンド』、若干分かりにくいです……
MI6(イギリスの情報機関)、KGB(ソ連の情報機関)、CIA(アメリカの情報機関)、と3つの組織が入り組んでいて、なかなか分かりにくかったです。
主演のシャーリーズ・セロンはMI6の諜報員として活躍します。そしてジェームズ・マカヴォイもMI6の諜報員です。
しかし、ふたりは互いに他の組織のスパイなんじゃないかと疑いながら手を貸しあうので、嘘をついたり盗聴したりと、観ていてこっちが困惑します。
えっ……結局裏切り者はどいつなの……? お前だったんかい! しかも、その組織のスパイなの……!?
ってな感じで、何も考えないで観たら、おそらく理解できず楽しめません!(考えながら観てもマジで難しい……)
しかしながら、アクションシーンは必見です!
最初に言っておくと、シャーリーズ・セロンはそこまで強くありません。どんな奴でも瞬殺するような超人的な力を持っているわけではないのです。
でも、よくよく考えれば、当たり前です!!
いくら鍛えられた諜報員でも、男性相手にはそう容易く及ぶわけはないんです。
だからシャーリーズ・セロンは、ボロボロになりながらもぎりぎりの闘いをしていきます。殴られて顔が腫れてしまい、血だらけになり、正直グロい顔になっていきます。
でもそこがリアルで、過激で、美しいんです!!
Trust no one !! “誰も信じるな”
その言葉通り、すべてのスパイを疑って観なければならない作品です。
最後の最後まで、疑い続けてください!
シャーリーズ・セロン×ジェームズ・マカヴォイが魅せる最高のスパイ映画!!
どうぞ、最高のひと時をお過ごしください!!!
それでは、今回の映画紹介はこのへんで……
LIV. 面接
サイコパスは、面接に立ち会った。
「はい、それでは、あなたのお名前を教えてください」
サイコパスは、マニュアル通りに面接を始める。
だが……退屈だ。
この人ですでに20人目だが、ここまでに面白い人が一人でもいただろうか。
即答できる……ノーだ。
同じような制服に身を包み、マニュアル通りの受け答えを繰り返す時間。
全くと言っていいほど、時間の無駄だ。
うちの会社は出身大学に注目を置く方針らしいが、本当にばかげている。
どこの大学を出たかどうかなど、正直意味はない。
大卒でもつまらない人はいるし、学歴がなくても面白い人はいる。
結局のところ、いい大学を出ようが大学を出ていまいが、そんなことで人の価値は測れない。
サイコパスは、無駄な時間にイライラする。
「はい、それでは、次の方お入りください」
これで最後……ようやく面接が終わりを迎える。
「失礼します」
顔の整った、実に大人っぽい男性が顔を出す。
サイコパスは、体の中を走る衝撃に心震えた。
そいつは完全に普通ではなかった。
常人が見ただけでは気づくことができないと思うが、私にはすぐに分かった。
瞳の奥底から溢れるエネルギー、その色はどす黒く畏怖の念を感じさせる。
妙に落ち着いていて、就活生特有の不安や緊張が感じられない。
実際に面接をしてみても、受け答えがしっかりしており、自分の考えに迷いがないように見られる。
私は、明らかに常人より優れているその男に、親近感を覚えた。
私と同じような素質を持っていると確信した。