サイコパスの素顔

小説を書いています。映画レビューもしております。

LIII. 守りたい

 

 みんなは、こどもって好き?

 

 こどもって可愛いよね。

 見てるだけで癒される。

 知らない子でも、守ってあげなくちゃって思わされる。

 

 でもね、そう思うのは、常人だけなんだよ。

 

 サイコパスは、ちょっと違う。

 

 本来人間には、丸いものや手足が短いものに愛おしさや可愛さを感じる本能が備わっているんだって。

 

 その本能は、種の存続を確保するためのもので、結果、自然と子供を守りたいって思っちゃうんだって。

 

 その理屈を聞いて、あーなるほどーって最初は私だって理解できたよ。

 

 でもね、気づいちゃったの私。

 その本能が私には備わっていないのかもしれない、ってね。

 

 だって、こどもを見るたび思うんだもん。

 

 その細い首を握りつぶしてみたい、とか、無邪気に走るこどもの顔面に膝蹴りしてみたい、とか、こどもを見ているだけで、どんどん残酷なイメージがわいてくる。

 

 もちろん実際にそんなことはしないけど、やりたくなっちゃう。

 

 けど勘違いしないでね。

 私はこどもが嫌いなわけじゃないから。

 

 こどもの泣き叫ぶ顔が見たいわけでもないし、苦しみの表情を見たいわけでもないからね。

 

 でもこの思い、止まらないの。

 

 サイコパスは、こどもが好き。