サイコパスの素顔

小説を書いています。映画レビューもしております。

LIX. 殺欲

 

 あぁ……殺したい。

 久しぶりに人を殺したい。

 

 サイコパスは、殺欲を覚えた。

 

 たまにこういう気分に陥る。

 何だろう……刺激が何もない時にそう感じるのかな。

 何もすることがない時、ごく稀にそういった欲望に心が支配される。

 

 一度そうなったら、もはや理性だけでは抑えきれない。

 

 サイコパスは、頭を抱えた。

 

 あああああ! マジで誰でもいいから、俺の殺欲を満たしてくれないかな!

 もう耐えらんないっ! 日々同じようなことの繰り返しで面白味がないんだよ!

 このままじゃ退屈すぎて死んでしまいそうだ……!

 

 誰でもいいから、俺に殺されたい奴、手ぇあげろぉおお!!

 

 サイコパスは、狂いだした。

 

 発狂しながら頭をぼりぼりと搔き毟る。

 皮膚は爪の中に食い込み、血が頭皮に滲んでくる。

 

 サイコパスは、刺激を求める。

 

 安心安全な国で暮らし、生ぬるい風に当たっているだけじゃ刺激が足りない。

 そんな人生じゃ、生きている実感が湧かない。

 

 定期的に人を殺して、ハラハラドキドキ感の味を心に沁み込ませなければならない。

 そうしないと、自分で自分を殺してしまいそうだ……

 

 よし、決めた! 次視界に入った奴、誰でもいいから問答無用に殺そう……!

 

 サイコパスは、刺激がなければ生きられない。