サイコパスの素顔

小説を書いています。映画レビューもしております。

XCI. 目障り罪

 

 優先席に座る、平気で通話する、見た目ヤンキー。はい、死刑。

 派手なベルト、夜なのにサングラス、横柄な態度。はい、死刑。

 茶髪、日サロ黒、キャップ、キツい香水。はい、はい、死刑。

 マナーがなっていない、自分のことをカッコいいと勘違いしている、典型的アホ。もちろん、死刑。

 

 サイコパスは、死刑の数に笑みが零れた。

 

 この世界は、割と死刑が多い。そしてその対象は、こんな奴だ。

 

 チャラチャラして頭悪い。勉強もできず、学ぶ姿勢もない。結局同じようなチャラついた女と結婚し、計画性のないそんなカップルは若くして子供をもうける。低賃金に劣悪な環境、低い知能と乏しい感性。そんな親に育てられた子供もまた、同じ末路を辿っていく。

 負の連鎖、スパイラルに囚われた種は、切り捨てなければならない。

 

 サイコパスは、切実に思う。

 

 だがしかし……

 

 そういうバカが世の中にいた方が、都合がいい部分もある。搾取する側からすれば、何も考えないで生活するバカからたんまり金をせしめることができて、非常に都合がいい。

 国としては、都合がいいのだ。

 

 だがしかし……

 

 サイコパスは、許せない。

 

 ……目障りだ。

 都合が良くとも、目障りだ。

 

 目に余るバカ面に、許容できないアホな言動。周りに迷惑をかけるその態度、立場をわきまえていないその面が……許せない。

 

 死刑にして良い。

 そんな奴らを見かけたら、その場で殺してもいい、そんな法案が成立。

 

 これでいい。

 今よりもずっと、世界は美しくなる。

 

 サイコパスは、願った。

 

 ……そんな世界を。