IX. 悪臭
もう我慢できないっ! 臭すぎる!
よりにもよってなんで隣に座ったのよ!
サイコパスは、我慢の限界に達した。
こういう人種はなんで皆同じような臭いがするの?
鼻をつんざくような酸味がかったすえた臭い。
どこが発生源なの?
そのだらしない服、洗ってないの……? それとも風呂に入ってないからなの……?
どっちでもいい。とにかく臭い。
息をするのが苦しい……
サイコパスは嫌悪感を抱いた。
しかもそういう奴に限って必ずゲームしてるし……
電車の中で、公衆の面前でゲームする自分の姿を恥ずかしいとは思わないの?
もしかしてかっこいいとか思っちゃってるのかな……?
なら勘違いしているお前に声高々にして言いたい。
マジでダサいよ!!
サイコパスは、ますます気分が悪くなってきた。
現在朝の9時。
まだ眠いし、ムダに動きたくない。
よかったね、お前は運がいいよ。
元気があったら、今頃お前を殺しちゃってる。
バックに入っているハサミを取り出して、躊躇なくその汚い首元に風穴を開けてるよ。
そうすれば勢いよく噴き出す血の香りで、少しはマシになるかもね。
今のお前の臭みが消えるならなんだってする。
サイコパスは、ハサミを握る手をそっと緩めた。