XXXII. 初恋
サイコパスは、恋をした。
同じ大学に通う男の子に恋をした。
初めての感情に戸惑い、自分の気持ちに素直になれない。
彼からメールが届く。
メール画面に映る彼の名前を見ただけで心がそわそわする。
どう反応していいかわからず、メールを2日間も放置してしまっている。
サイコパスは、戸惑っている。
今まで、自分以外の人間になんて興味なかった。
ただの道具としてしか見てなかったし、レベルの低いクズばっかりで無関心だった。
でも初めて、自分以外の人間に意識が向いた。
電車に乗っているときも、大学で講義を受けているときも、彼のことばかりが頭を離れない。
なのに、自分の気持ちがわからない。
好きなのに、その気持ちを認めるのが怖くてどうしていいかわからない。
サイコパスは、携帯を握りしめ画面を見つめる。
嫌われたくない……その思いが心を縛り付ける。
恥ずかしい……その思いが心を駆け巡る。
怖い……その思いが心を蝕んでいく。
サイコパスは、彼を殺したいと思った。