サイコパスの素顔

小説を書いています。映画レビューもしております。

XLIX. ラーメン

 

 あぁ、もう食えねぇ……

 

 サイコパスは、割り箸を置いた。

 

 つうか、こんな脂っこいラーメン食えるわけねぇんだよ。

 もう年だし、若い時みたいにはいかねーよ。

 マジで、胃もたれするなんてレベルじゃねーぞ、これ。

 もう気持ち悪くて、ゲロ吐きそう……。そんで、そのゲロの臭い嗅いでさらに胃もたれしてゲロ吐きそう。

 

 中年オヤジの胃腸の弱さナメんなよ!

 

 うっ……うぅ……おえっ……!

 

 サイコパスは、店の目の前で嘔吐した。

 

 まだまだいけると心のどこかで思っていたが、体はその意思についてこれていないようだ。

 

 さっき食ったばっかだから、吐瀉物の形状がまだ残ってる。

 スープの赤黒い色がそのままで、麺はちぎれちぎれになっている。

 

 オエッ……久しぶりに見たけどやっぱり、ゲロって気持ち悪いな……

 

 でも何よりも気持ち悪いのは、強烈な臭いを放つ脂だった。

 

 おすすめのラーメンを食べたんだが、何て名前のラーメンだったんだろう……? 看板に『おすすめ、 肉ラーメン!』って書いてあるけど、肉の文字の横に不思議な空間があるように思える。チョークの字が薄いせいと夜遅く暗いせいで、よく分からん。

 

 まぁとにかく、何肉ラーメンだか知らんが、背脂が異常なまでに脂ぎっていた。

 臭いも、今まで嗅いだどの動物の脂よりも独特の臭みを放っていた。

 

 オエッ……! ……まだでるわ……

 

 サイコパスは、脂ののった筋っぽいチャーシューを口から吐き出した。