サイコパスの素顔

小説を書いています。映画レビューもしております。

サイコなパスな考え方(超短編小説)

L. 殺人 ⑤

よし! できた! ようやくできた! サイコパスは、ネックレスを自作した。 一度作ってみたかったんだよねー、オリジナルのネックレス。 骨で作り上げたから、すごくロック感漂ってるわー。 それにしても、思ったよりも骨を切断するのには手間がかかった。 今…

XLIX. ラーメン

あぁ、もう食えねぇ…… サイコパスは、割り箸を置いた。 つうか、こんな脂っこいラーメン食えるわけねぇんだよ。 もう年だし、若い時みたいにはいかねーよ。 マジで、胃もたれするなんてレベルじゃねーぞ、これ。 もう気持ち悪くて、ゲロ吐きそう……。そんで、…

XLVIII. おばあちゃん

「ねぇおじいちゃん。おじいちゃんはどんな食べ物が好きなの?」 「ねぇおばあちゃん。おばあちゃんはどんな食べ物が好きなの?」 こういう風に言うと、あたしのおばあちゃんは不機嫌になる。 いや、不機嫌になるぐらいならまだマシな方。 本当に機嫌を損ね…

XLVII. 君しかいない

牡蠣フライ定食を注文したものの、喉を通るわけがなかった。 箸を持つ手を下ろし、痛みだす胸に手を当てる。 冷静になって初めて、溢れる悲しみの波に襲われた。 痛みは次第に大きくなり、耐えることはできそうにない。 サイコパスは、定食屋を後に交番に向…

XLVI. クリスマス

サイコパスは、彼氏を殺してきた。 今日は、クリスマス。 粉ミルクが大空から舞い散るかのように、甘い記念日がやってきた。 昨日まで付き合っていた愛しい彼氏は、もういない。 彼は私のためにプレゼントを買ったりと、この日を楽しみにしていたらしいが、…

XLV. しょうがない

サイコパスは、人を殺した。 だって、電車が込みすぎていて狭かったんだもん。 何人か殺して減らすのが最善策だとその時思ったんだもん。 しょうがないじゃないか。 サイコパスは、人を殺した。 だって、僕の横を通ったあいつの目が気に食わなかったんだもん…

XLIV. チョコレート

みんなは今日が何の日か知ってる……? そうなの! 今日はバレンタインデーなの! サイコパスは、この日を楽しみにしていた。 私好きな人がいるから、この日をずっと待ってたの。 彼に一目惚れした時から思ってた。私の手作りお菓子を食べてもらいたいって。 …

XLIII. 左利き

サイコパスは考えた。 世界人口の7割を占める、右利き。 残りの3割を占める、左利き。 この世界は、左利きにとって非常に生き辛い世の中だ。 文字を書く時には、自ら書いた文字で手が汚れる。 駅の改札口の切符入れは右側にしかない。 世界で作られる道具の…

XLII. 一目惚れ

サイコパスは、一目惚れをした。 僕には最近、気になる人がいる。 一目見たとき、突然心をギュッと鷲掴みされた感じがした。 苦しいと感じると同時に、頭の中でベルが鳴り響いた。 サイコパスは、ある女性に釘付けになった。 その女性の瞳はこの世界の何より…

XLI. 悪魔

サイコパスは考えた。 サイコパスは、どうして嫌われるのだろう。 サイコパスは、どうしてみんなから嫌悪の眼差しを向けられるのだろう。 サイコパスは、どうして友達ができないのだろう。 サイコパスは、どうして常人としての扱いを受けることができないの…

XL. 殺人 ④

トントントン。 トントントン。 トン……ザクッ……トントントン。 ザクッザクッザクッ…… サイコパスは、朝食を作っている。 トントントン……ザクッ。 トントントン……ザクッ。 包丁の扱いには慣れているが、たまに引っかかる筋はやっぱり切りにくい。 トントン………

XXXIX. 扼殺

自らの手で相手の首を絞めて殺すこと。 サイコパスは、手を洗っている。 殺し方にも様々な種類があるけど、私は扼殺が気に入っている。 私は女で非力だから、本当だったら何か道具を使った方法で殺したほうが楽に決まっている。 でもそれじゃ、面白みに欠け…

XXXVIII. 枯れぬ花

サイコパスは、初めからイカれているわけではない。 この世に生を授かった時点では、常人とサイコパスを見分けることは困難である。 違いは何かと聞かれたら、こう答えよう。 サイコパスは、常人とは異なる種をもって生まれてくる。 その種は、誰にも見るこ…

XXXVII. 眠れる森の美女

サイコパスは、肩に圧力を感じた。 何かと思い右を見ると、黒い闇がぼくの肩を覆っていた。 艶のある黒髪……どうやら女子高生のようだ。 かなり疲れているらしく、電車が揺れても起きる気配はない。 マフラーを巻いて暖かそうな格好をしているこの娘は、とて…

XXXVI. 魅惑の踊り子

カチッと蓋を開け、ジッとジッポライターの火をつける。 火を見ると、なんだかとっても気持ちがいい。 サイコパスは、子供のころから火が好きだ。 新聞紙にライターで火をつける、お肉を直火で真っ黒に焦げるまで焼く、理科の授業中、ガスバーナーを意味もな…

XXXV. 専業主婦

ピピピピピピピピ…… 目覚ましの音で目を覚ます。 本当はもっと寝ていたいけど、そうも言っていられない。 サイコパスは、今日も忙しい。 朝早くから起きて、高校生になる子供のお弁当を作り、会社員である旦那のために熱々のコーヒーを入れて朝食を作り、子…

XXXIV. 死者と供に

サイコパスは、葬儀屋で働いている。 毎日のように死者と向き合い、誠心誠意をもってお見送りしている。 この仕事は、体力的にも精神的にも大変な仕事だ。生半可な気持ちでできるほど甘くはない。 だが私にとってこの仕事は、天職だ。 サイコパスは、死者に…

XXXIII. 子殺し

子供を殺すのは、とても合理的。 サイコパスは考えた。 殺すなら、3歳ぐらいになる前にはやらなければならない。 それ以上を過ぎると、養育費や食費などのコストがかかってしまい、殺すには惜しい存在となってしまう。 サイコパスは考えた。 子供は現在と未…

XXXII. 初恋

サイコパスは、恋をした。 同じ大学に通う男の子に恋をした。 初めての感情に戸惑い、自分の気持ちに素直になれない。 彼からメールが届く。 メール画面に映る彼の名前を見ただけで心がそわそわする。 どう反応していいかわからず、メールを2日間も放置して…

XXXI. 無秩序型殺人鬼

「突然ですが、臨時ニュースです」 サイコパスは、女子アナの重苦しい声に注意を引かれた。 「先ほど、都内で通り魔殺人事件が発生しました。午後12時頃、都内の大学で、20代半ばと見られる男性が刃物を振り回し、通行人を見境なく切りつけました。現在分か…

XXX. 殺人 ③

朝目が覚めると、横には死体があった。 なんだ……夢じゃなかったのか…… サイコパスは、愛する者を殺した現実と向き合う。 温かい朝なのに、死体はすっかり冷たくなっていた。 今日は土曜日、仕事は休みだ。 この死体をどうするべきなのか、考える時間はたっぷ…

XXIX. ソーセージ

サイコパスは、調理場で思い出した。 昔どこかの国では、ごく普通に売られていたらしい。 ……人肉が。 聞いた話によると、人肉で作られたソーセージを売る肉屋があったらしい。 仕事帰りのお母さんが夕食のおかずにソーセージを選び、いつもの肉屋で購入する…

XXVIII. フラミンゴ

まず初めに、鉄製のヒールを高熱で焼きます。真っ赤に染まるまで十分に焼いてください。 次に、事前にご購入なされたモデルの足に先ほど熱したヒールを履かせてあげてください。そしてすぐに水で冷やし、モデルの足の皮膚とヒールがくっ付いて剥がせない状態…

XXVII. 美しき生き物

サイコパスは、劣等感を抱いている。 醜い外見も中身の無能さも、自分のすべてが嫌いだった。 「お前は出来損ないのクズだ!」「顔を見るだけでイライラする!」「勉強もできない運動もできない、あんたみたいなブスな子産まなきゃよかった」 サイコパスは、…

XXVI. ストレス発散

サイコパスは、立場の権力に酔っている。 「おい! お前馬鹿か! 本当お前は何もできないんだな! 辞めちまえ!」 出来の悪い部下を罵るのはとてつもなく快感だ。 「そこの君、お茶を入れてくれないか? 君に言っているんだよ、ブス!」 「ねぇ君、かわいい…

XXV. 優先席

電車の優先席に堂々と座る若者って、殺していいよね。 サイコパスはふと、考えた。 周りに立っているお年寄りがいるのに座る奴は、もちろん論外だよ。 そりゃそうだ。 でも、周りにお年寄りがいなくて、優先席が空いているから座ってもいいっていうのは違う…

XXIV. ホットケーキ

サイコパスは、ホットケーキを焼いた。 よくイメージ図にあるような3段に積み重なったホットケーキ。一番上にはお決まりのバターを乗せてみる。 まだあったかいホットケーキがバターをじっくりと溶かしていく様に心が温まる。 料理は好き。 料理を作ることが…

XXIII. ドライブ

サイコパスは、走りながら考えた。 教習所に通っていた時から、なんとなく感じていた。 アクセルの上に足を置くと、無性にスピードを上げたくなる。 横転するほどの勢いで、ハンドルを切りたくなる。 その衝動に日々駆られる。 もし本当にそんなことをしたら…

XXII. 暇つぶし

少しの時間が空いちゃって、暇をつぶさないといけなくなったとき、みんなだったら何をする? 常人なら、読書したり携帯ゲームに没頭したり、だいたいそんな感じだろう。ネットサーフィンしたり、好きな子と連絡とったりする人もいるのかな……? だが僕は違う…

XXI. カフェ

午後2時。 サイコパスは、優雅に紅茶を口にする。 カフェは好きよ。 落ち着いた雰囲気のカフェは本当に好き。 自分好みのカフェを探すのに2年もかかっちゃったけど、ここはその苦労に値する理想のカフェ。 お客さんも少ないし、マスターも寡黙でムダな話は一…