サイコパスの素顔

小説を書いています。映画レビューもしております。

LVIII. 孫

 

 孫は本当にかわいいもんだよ……

 

 サイコパスは、機嫌がいい。

 

 久しぶりに顔を見せてくれた孫は、何やら嬉しそうな顔をして、寄り添ってきた。

 話を聞くと、どうやら学校でいいことがあったそうな……

 

「ねぇ、おばあちゃん! 今日ね、今日学校でね、先生に褒められたの!! 絵がうまいってみんなの前で褒められたの!」

 

 無邪気に喜びを表現する孫は、その喜びをおばあちゃんにも分けてくれた。

 

 サイコパスは、自然と笑みがこぼれる。

 

 真っ先に私のもとへ、おじいさんよりも先に、その報告をしてくれたことが、おばあちゃんにとっては何より嬉しいことだよ。

 

 もし、逆だったら、どうなっていたことか……

 

 サイコパスは、顔にしわを寄せる。

 

 そんなこと考えただけで、不愉快になる。

 

 でも、今日は、「おばあちゃん!!」ってその綺麗な顔を見せてくれた。

 

 孫はやっぱりかわいいもんだよ……

 

「そういえば。おじいちゃんは……?」

 

 その言葉を聞いた途端、おばあちゃんは孫を睨みつける。

 今まで笑顔だったおばあちゃんの心に雷が落ちたかのように……

 

 サイコパスは、気難しい。

LVII. 都会

 

 サイコパスは、理解できない。

 

 都会という場所に集まる人々。

 その存在はまるで意味不明だ。

 

 交差点に集まる人々。

 日々多くの者が肩と肩がぶつかるすれすれのところを通って歩く。

 

 電車に詰められる人々。

 毎日仕事に向かうために汗と加齢の臭いに包まれ、身動き一つとれずに運ばれる。

 

 サイコパスは、理解できない。

 

 なぜ人々は群がっていくのだろう。

 文明が栄え、人々は一点に集まり、集団組織として生活をする。人と人が密接に関係を持ち、切磋琢磨して成長していく。

 その理屈を理解することはできる。それは人類の歴史を見れば分かることだ。

 

 だが……

 

 サイコパスは、納得できない。

 

 なぜそんなにも近づき合うことができるんだ。

 多くの人が、すれ違う人を、通勤で顔を合わせる人を、それぞれ皆を信用できるわけがない。

 どこの誰だかも分からぬ、何を考えているのかも全く分からない。

 そんな人々をなぜ警戒もせず、皆が一点に集まることができるのだろう……

 

 ――『都会』。

 

 そこは極めて恐ろしい場所だ。自分自身では何もすることなく、自然と人々を呼び寄せる。白人も黒人もアジア人も、人種に関係なく、男も女もそうでない人も、性別に関係なく、教師も医者も弁護士もサラリーマンも、職業に関係なく、常人もサイコパスも、人格に関係なく、『都会』は至って冷静な表情で差別なく誘い込む。

 

 それだけ勝手に人々が集まれば、自ずと人々は暴力的になる。事故や事件、多くの者が傷つき命を失っていく。

 悪の根源である『都会』は涼しい顔をして、人々にとって極めて厄介な危険地帯へと変貌する。だがそれが『都会』の本性であり、人々を苦しめることを糧に何十年何百年と繁栄を続けていく。

 しかし誰も気づかない。いや、気づかないフリをしているだけなのかもしれない。人々もまた野蛮で暴力的な種族である。同じ気質であるからこそ『都会』と『人間』は惹かれ合うのかもしれない。

 

 そう考えると恐ろしくて堪らない……何を信用していいのか分からない……

 

 サイコパスは、都会と人間に怯える。

第20弾 『ジェーン・ドウの解剖』

 

どーも! ユアセルフ です!

 

今回紹介する映画作品は『ジェーン・ドウの解剖』!!

一つの死体から始まる戦慄の新感覚ホラー!

 

  

監督 アンドレ・ウーヴレダ

主演 ブライアン・コックス / エミール・ハーシュ / オルウェン・ケリー

原題 『The Autopsy of Jane Doe

ジャンル ネクロテラー

上映時間 86

 

この<ジェーン・ドウ>にメスを入れてはならない

この映画、興味があって観たいと思っていたので、気合を入れて観ることができました!

本作『ジェーン・ドウの解剖』はお化け系の映画なんですが、ユアセルフ 普段ならあまり観ません。

 

でもなぜか、本作の魅力に惹かれてしまいました💕

 

あ、そうだ。

タイトルにある「ジェーン・ドウ」とは身元不明の女性に使われる言葉です(男性の場合はジョン・ドウ)。

 

ではでは、そろそろ『ジェーン・ドウの解剖』をしていきましょう!!

 

 

・ストーリー

田舎町、トミーと息子のオースティンは遺体安置所と火葬場を経営していた。

ある夜、そんなふたりの元に緊急の検死依頼が入ってくる。

一家3人が惨殺された家の地下から、身元不明の女性死体が見つかったのだ。

運ばれてきた「ジェーン・ドウ」の死因を調べるため、ふたりはいつも通り仕事にかかる。

しかし、解剖を進めるたびに死体の様子が異常であることが分かっていく。舌の切断、手首と足首の骨折、肺の火傷、臓器の損傷……だが、外傷は一切なく綺麗なまま。

そして、解剖を邪魔するかのように怪奇現象が次々と起きていく。

死体にメスを入れるたびに暴かれる秘密、判明していく隠された事実。

外では嵐が吹き荒れ電話も使えない中、遺体安置所という閉鎖空間で、逃げることのできない恐怖がふたりに襲い掛かる……

 

 

はい、いかがでしたでしょうか。

ストーリーはこのような感じになっています。

ここからは ユアセルフ 個人の感想を述べていきます。

 

 

死体綺麗……

 

ユアセルフ お化け系の怖さ……苦手です。

 

まず初めに言いたいのは、死体がとても綺麗で見ていても気持ち悪くならない!

でも、タイトル通り解剖がメインのお話なので、臓物系が苦手な方はちょっとキツイかもしれません。

 

本作『ジェーン・ドウの解剖』のいいところは、怪奇現象に襲われるふたりが、パニックになることもなくキャーキャー騒ぐこともなく、視聴者をイライラさせない点だと思いました!

割と早めに怪奇現象の元凶が「ジェーン・ドウ」であると理解し、その謎を解明しようと奔走する構成は、とてもスムーズで集中力を切らせません(86分と短い部分もグッド!)。

 

話の設定もかなりうまいと思いました。

解剖が進むにつれ、「ジェーン・ドウ」の死因が何なのかを一緒に考えていくことも本作の醍醐味であると思います!

 

人身売買の被害者なのか……?

いや、何らかの儀式で拷問されたのか……?

いや、…………(彼女の秘密を言ってしまっては面白くないので、その答えはご自分の目でご確認ください)。

 

最後に、ユアセルフ 個人的に嫌だったシーンの紹介です!(別に興味ないとかは言ってはいけない

嫌だったシーンは……肋骨バサミで骨を切断するときに死体の顔が振動するところです。

骨の切断音が妙に気持ち悪かったのと何の抵抗もない死体の動きが嫌でした……

はい、以上。

 

死体の解剖は本当にリアルです。

食事中に観るのはちょっと厳しいと思うので、鑑賞するときはお気をつけてください。

 

それでは、今回の映画紹介はこのへんで……